「渡米実業団」日録

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 今から約100年前の1909(明治42)年、東京・大阪など6大都市の商業会議所を中心とした民間人51名が3ヶ月間にわたりアメリカ合衆国の主要都市を訪問し、民間の立場から、日本とアメリカの経済界を繋ぐパイプづくりに大きく貢献しました。
 この日録では「渡米実業団」(Honorary Commercial Commissioners of Japan to the United States of America)と呼ばれた日本初の大型ビジネスミッションの日々の出来事を、『渋沢栄一伝記資料』に再録された資料等で追いながら、過去に遡る形で掲載しています。

 1909(明治42)年11月28日(日) 太平洋両岸聯合商業会議所、貿易振興の具体化策について協議(特別委員会開催)

渡米実業団誌』 (巌谷季雄, 1910.10) p.560-575

 ○第三編 報告
     第四章 日米聯合商会議所協同に関する件
    特別委員会記事
特別委員会は、明治四十二年十一月二十八日、フェーアモント・ホテルに於いて開会、出席者キャプテン・バーンソン、ムーア、松方幸次郎、頭本元貞氏「外に特に有益なる助力をなしたるヘール氏列席。」キャプンテン・バーンソン氏座長席に就き、評議の末、左の決議案を次回の委員に提出すべきことを可決せり。
      決議案
茲に代表者の会合せる日本聯合商業会議所及び米国太平洋沿岸聯合商業会議所は、訪問及び歓待を交換し、又斯る友誼の交換より、何等現実且つ有利なる結果を収むるの要を認め、左の通り決議す。
此の会合は、各自所属の聯合会議所に対し、左の二項を提議勧奨する事。
(一)両聯合商業会議所は、両国間の貿易を増進拡張する為に協力する事。
(二)両聯合商業会議所は、各自委員(団体)を設定し、又は吏員を任命すべく、該委員又は吏員は、他の一方の委員又は吏員と聯絡協力し、以て左の任務を尽すべし。
  両国の物産・製造品及需要に関する報告を蒐集配布する事、
  通商上現存する障礙を調査報告し、之を除去することを努むる事、
  両国間の商業を発達増進する手段・方策を案出する事、
  若し有利なりと認むれば、前現事項を商量措置する為に、日米国際商業会議所の設置を以て究竟の目的とすべし。
(三)本特別委員会は、両国間の貿易を増進奨励する為に、商工事務官の設置を日米両国政府に建議することは、現下の事情に於て時機を得たるものにあらずと信ず。
尚特別委員会は、前述第三項の商工事務官に関する一節を削除すべきことを、委員総会に勧告することに決議したり。
(『渋沢栄一伝記資料』第32巻p.366-367掲載)


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