『渡米実業団誌』 (巌谷季雄, 1910.10) p.409-412
○第一編 第八章 回覧日誌 西部の二
第七節 インペリアル・ヴアレー視察記
(高辻奈良造氏報告摘要)
[21日より・前略] 此夜は車中に睡り、翌二十二日早朝起床、扉を開けば既に目的地に在り、此地はメキシコ国ローワー・カリフオルニア州の北部、亜米利加合衆国との国境に近き所にして、「サウザン・パシフィック」鉄道会社の「インペリアル・ジャンクション」より分岐する線路中のテコローテー駅附近なり。一同下車野生の雑草、土壌其他農事関係の事柄を調査し、時間の都合により尚東行してコロラド州を視察することを止め、引返して再びカリフオルニア州に入り、アレキシコ市に下車し、同市方面を視察して、エルセントロー市に帰り、更に自働車に乗じて、附近の農園を視察し、又ホールトン郊外鉄道により、ホルトヴィルに至り、途上屡下車して、専ら棉花栽培の状況を取調べ、尚其附近のインペリアル其他の都市を歴訪し、遂にエルセントロー市に帰り、同夕の発車にて出発、[後略・23日へ]
(『渋沢栄一伝記資料』第32巻p.352掲載)