「渡米実業団」日録

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 今から約100年前の1909(明治42)年、東京・大阪など6大都市の商業会議所を中心とした民間人51名が3ヶ月間にわたりアメリカ合衆国の主要都市を訪問し、民間の立場から、日本とアメリカの経済界を繋ぐパイプづくりに大きく貢献しました。
 この日録では「渡米実業団」(Honorary Commercial Commissioners of Japan to the United States of America)と呼ばれた日本初の大型ビジネスミッションの日々の出来事を、『渋沢栄一伝記資料』に再録された資料等で追いながら、過去に遡る形で掲載しています。

 1909(明治42)年12月15日(水) 地洋丸に対する感謝の決議 【航海第15日】

渡米実業団誌』 (巌谷季雄, 1910.10) p.555-556

 ○第三編 第三章 感謝の決議
     第四 往復汽船に対する決議
○上略
      乙 地洋丸に関する感謝の決議(原文英語)
千九百九年十二月十五日
 東洋汽船会社地洋丸船長ダブリュー・ダブリュー・グリーン殿
 拝啓、陳者下名は日本渡米実業団員に代りたる決議を、貴下に通告するの愉快を有し候。
    決議文
 「日本渡米実業団員は、合衆国内三個月の旅行の後ち、汽船地洋丸に搭乗し、該船々長ダブリュー・ダブリュー・グリーン氏、航行中吾人に表されたる優遇に対し、認識及び感謝の意を表し、併せて船中に於ける秩序及乗組員の職務に熱心なることに対し、賞讚の意を表す。蓋し此等の事実は、今回の旅行を愉快ならしむるに多大の効力ありしものなり。」
 右得貴意候 敬具
          日本渡米実業団長 男爵渋沢栄一
      丙 東洋汽船会社代表者
千九百九年十二月十五日
 東洋汽船会社代表者ダブリュー・エッチ・エベリー殿(原文英語)
 拝啓、下名は日本渡米実業団員に代り、貴会社が我実業団に対し、特に優待の意を表されたること、及今回の航海中貴下が我一行の愉快と安寧の為めに、絶えず行届きたる注意と配慮とを惜まれざりしことに対し、深く感謝の意を表し候。尚ほ団員は汽船地洋丸内の規律及乗組員執務の有効周到なることに関し、賞讚の意を表し候。
 右得貴意候 敬具
           日本渡米実業団長 男爵渋沢栄一
○下略
(『渋沢栄一伝記資料』第32巻p.383-384掲載)